« 2012年5月 | トップページ | 2012年7月 »

『表現文化論Ⅰ』授業紹介(第11回)

2012年6月28日 (木)

『表現文化論Ⅰ』第11回目の授業は講談鑑賞です。

高座に座布団が置かれた舞台上は落語と似ているようですが、
座布団の前に置かれた「釈台」は講談独自のもの。
講談は、釈台を「張り扇」で叩きながら、
戦国時代を舞台にした「軍談」や人情噺を取り入れた「世話物」を読みすすめます。

P1000955_4

外部講師の仲野基道先生から、落語と講談の違いについて伺います。
落語は登場人物の会話を通して物語を展開する、「話す」ものであるのに対し、
講談は本に書かれている通りに「読む」ものだと言えます。

講談の実演は日向ひまわり先生。
武士の出世物語「加藤孫六」と世話物の「孝女・秋色」を実演してくださいました。

「読む」といっても、ただ音読をするだけの素っ気ないものではありません。
「加藤孫六」では、馬の背にまたがり疾走する少年・孫六の躍動感が、
「孝女・秋色」では、才気に溢れながらも素直で可憐なお秋の真心が、
ひまわり先生によって時にほがらかに、時に切々と読まれていきます。

P1000944_2

親が子を、子が親をいとおしく思う気持ち。
自分の夢をまっすぐに追いかけるひたむきな気持ち。
講談が伝える、戦国時代や江戸時代の人々のそんな気持ちは、
案外、現代を生きる私たちの胸の奥にも眠っているものなのかもしれません。

【学生のコメント】
・日向ひまわりさんの表情や声が色んな風に変わっていくのがすごいと思いました。
・張り扇を叩く音が場面転換を表しているのだな、と思った。
・本に書いてある通りに読んでいると思って聞いていても、その世界に引き寄せられ、本当にその時代の人がしゃべっているかのような不思議な感覚がありました。
・ついつい夢中になって聞き入ってしまうような講談にすごく感激しました。

Posted by 表現文化学科

| | コメント (0) | トラックバック (0)

図書館見学ツアー『武蔵野プレイス(武蔵野市)』

2012年6月25日 (月)

十文字学園女子大学の図書館司書課程を履修しているメンバーで、担当教員のもと、平成24年6月23日(土)14:00~16:00に、1日平均5000~6000人も来館する武蔵野市の公共図書館『武蔵野プレイス』を見学しました。
当日、武蔵野プレイスの担当者2名から丁寧な説明を受けた後、1階メインカウンター前の「カフェのある空間」や、地下2階にある中高生の熱気がすごい「ティーンズスタジオ・ラウンジ」など、図書館機能のほか、生涯学習支援機能、青少年活動支援機能、市民活動支援機能など充実した館内を自由に見学しました。見学終了後質問の時間も設定いただき、学生からは事前学習の成果もあり活発な質問がありました。【参加者 :8名(教職員3名・学生5名)】

詳細な、見学記は、後日ホームページに公開いたします。

Conv0001_2

Conv0006_2

Posted by 職員

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『表現文化論Ⅰ』授業紹介(第10回)

2012年6月23日 (土)

今日は「日系アメリカ人」について学びました。前半は講義、後半はビデオを見ました。

学生のみんなは、私語も無く、熱心に耳を傾けました。

日系アメリカ人とは、アメリカ合衆国市民の中で、日本にルーツがある人々のことです。今では「模範的市民」と評されるほどの日系アメリカ人たちが現在の立場を築くまでには、想像を超えるほどの苦難の道のりがありました。しかし、このことはアメリカでも日本でもほとんど知られていません。

2005

年の国勢調査によると、日系アメリカ人の人口は122万人あまりで、全米人口の0.4%を占めています。アメリカ合衆国に移民として日本人が渡ったのは19世紀末のことで、1900年から1910年には入国者数が13万近くになり、そのピークを迎えます。

日系アメリカ人たちは、偏見や差別と闘いながら、1930年代には安定した生活を手に入れることになります。しかし、1941年に日本国海軍が真珠湾を攻撃した日から、その生活は一変します。日系アメリカ人の指導的立場にあった人たちは逮捕され、1942年には太平洋岸住む日系アメリカ人約十二万人が強制収容所に入れられました。それまでに築き上げた財産を二束三文で処分し、手荷物一つで強制的に収容されたのです。その7割はアメリカ生まれでアメリカ市民権を持つ二世たちでした。鉄条網に囲まれ、彼らはプライバシーもない不自由な生活を余儀なくされます。

自分たちが忠誠なアメリカ市民であることを証明するため彼らが選んだ道は、第二次世界大戦でアメリカ合衆国のために戦うことでした。日系二世で編成された第100歩兵大隊と第442連隊戦闘団は、その規模の部隊としてはアメリカ軍史上最も多くの勲章を受けた部隊として、歴史に燦然と輝いています。父母の祖国である日本と闘う苦悩を抱えながら、アメリカでは人種差別と闘い、戦場では多くの犠牲者を生みました。1945年終戦後、トルーマン合衆国大統領は「諸君は敵だけでなく偏見とも戦い、そして勝利した」と最大級の賛辞を送りました。

日系アメリカ人たちは強制収容から解放され、新たな生活を再開することになりますが、差別や偏見が完全に無くなったわけではありません。アメリカ政府が日系アメリカ人の功績を認め、正式に謝罪をしたのは1988年のことでした。強制収容された日系アメリカ人に一人当たり2万ドルの補償金を支払うことを約束しましたが、多くはすでに死亡し、高齢化していました。

P1000911

学生のリアクションペーパーより

★「日系アメリカ人」という名称は知っていても、意味は知りませんでした。今までの歴史の授業でも、日本側からのことしか教えられなかったからかなと思いました。今回、知れて良かったと思いました。

★日系人の方に感謝すると同時に、二度とこんな事(強制収容)が起こってほしくないです。

★今までは、第二次世界大戦というと、米国と日本という二項対立でしかとらえていませんでしたが、その間にある「日系アメリカ人」という立場は、激しい葛藤があったのではないかと思います。「孝ならんと欲すれば忠ならず、忠ならんと欲すれば孝ならず」(親に従おうとすれば国に背くことになるし、国に従おうとすれば親に背くことになる、という意)、の言葉には、狭間に揺れる彼らの気持ちが集約されていると感じました。見ていてとても辛かったです。でも、知るべきことなんだと思いました。

★今まで聞いたことのない話だったので、今日聞いた時、とても驚きました。日系アメリカ人は、こんなにもひどい目に遭っていたんだなんて、思ってもいませんでした。

★日米の関わり、真珠湾、戦争といった関心のある内容だったので、今日はお話が聞けて良かったです。さらに興味関心が深まりました。どんどん過去のものになってしまう「戦争」というものを知らなければならないと思いつつも、機会に恵まれないのが現状です。日本人としての視点、その他の広い視点で「戦争」を見つめ直す、知る、ということは本当に必要なことだと思います。

★日系として育った人たちがどれだけの差別を受けて大変な目に遭ったのか知らなかったので、とてもショックを受けました。日系人たちが戦争の間どんな事をしたのか、そういう事実をちゃんと伝えていかなければならないと思いました。

★大変な思いをしながらも模範的民族と呼ばれるほど尊敬されるようになり、私達日本人が安心してアメリカに旅行できるのは、日系人のおかげだと思います。

Posted by 表現文化学科

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『表現文化論Ⅰ』授業紹介(第9回)

2012年6月20日 (水)

今日の授業のテーマは、先週に続いて「歌舞伎」、担当は平野先生でした。

二日前に国立劇場の歌舞伎鑑賞教室で「俊寛」を観たばかりです。

今回の授業では、その記憶が薄れないうちに、歌舞伎についての学びを深めました。

「俊寛」のラストシーンでは、舟を見送る俊寛の姿を効果的に見せるため、廻り舞台が効果的に使われていました。

江戸時代の芝居小屋(香川県琴平町にある「金丸座」)で今も行われている「こんぴら歌舞伎」の映像を見ながら、

花道、廻り舞台、せり、がんどう返し等、歌舞伎の華やかな舞台装置や演出について具体的に学びました。


P1000906_3

歌舞伎鑑賞教室で観た「俊寛」は、歴史的な事件などをテーマにした時代物の演目でしたが、

そのほかにも歌舞伎には様々な演目があります。

数ある歌舞伎の舞台のなかでも、平野先生おすすめは、板東玉三郎が演じる歌舞伎舞踊「鷺娘」。

この演目は、美しい娘の姿をした鷺の精の恋の苦悩を舞踊で表現したものです。

〈引き抜き〉や〈ぶっ返り〉といった舞台上での衣装の早変わりの効果や、洗練された役者の動きなどに注目しながら、

歌舞伎の花形である女方(おんながた)の魅力に触れました。

(学生のコメント)
・歌舞伎の舞台では、限られた空間で奥行きがあるように見せているのがすごいと思った。

・「鷺娘」の玉三郎さんは、指先や足の運びが一つ一つ優美で、繊細で、つややかに見えました。終盤の悩ましげな表情が美しかったです。

・機会があったら、もっと色々な演目を観てみたい。日本はもっと自国の伝統芸能を誇っていいと思う。
・歌舞伎の劇場だけなく、横浜アリーナなどでのコンサートでも「花道」が使われている。歌舞伎の文化が今も他のところに使われているのだと気づいた。

Posted by 表現文化学科

| | コメント (0) | トラックバック (0)

図書館のオーディオビジュアルコーナーがリニューアルされました。

2012年6月13日 (水)

Conv0001

図書館のオーディオビジュアルコーナーがリニューアルされました。

美しい映像で、館内資料の映画や歌舞伎、能などをご覧ください。

ご利用お待ちしています。

Posted by 職員

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『表現文化論Ⅰ』授業紹介(第8回)

2012年6月 7日 (木)

短期大学部では毎年6月に国立劇場の歌舞伎鑑賞教室に参加しています。

今日の授業では観劇のプレ講義として、
歌舞伎の語源や歴史について学びました。
担当は平野先生です。

屏風絵などの絵画資料を見ると、
出雲の阿国から現代まで、〈かぶき〉がどのように変化してきたかがよく分かります。
DVD
教材を使って、歌舞伎鑑賞のポイントについても学びました。

P1000873_5

また助手の細谷さんが、
観劇する演目「平家女護島」の「俊寛」について解説しました。

「平家物語」の俊寛から「平家女護島」の俊寛へ。
近松門左衛門は「平家物語」と同じ結末を用意しながらも、
そこへ至る過程の物語を大胆に創作することで新たな俊寛像を描きました。

物語を先に把握しておくと、
観劇当日は自分なりの興味を持って舞台や役者さんに注目できそうです。

P1000893_4

(学生のコメント)
・隈取にはいくつも種類があり、それが役柄を表していることに驚いた。
・歌舞伎は元々は女性が演じていたとは知らなかった。
・俊寛のあらすじが頭に入ったので、鑑賞会が楽しみになった!

歌舞伎の授業は来週の観劇を経て、次回の『表現文化論Ⅰ』に続きます。


Posted by 表現文化学科

| | コメント (1) | トラックバック (0)